梅の花

コラム

梅の花には早咲きと遅咲きがある?品種ごとの特徴や違いを解説

梅の花には早咲きと遅咲きがある?品種ごとの特徴や違いを解説

白い梅の花
春の訪れを告げる梅の花は、品種によって開花時期が大きく異なることをご存知でしょうか。
早いものでは12月から咲き始め、遅いものは3月下旬まで楽しめるため、長い期間にわたって観賞できるのが梅の大きな魅力です。

この記事では、梅の早咲き・中咲き・遅咲きの違いや、それぞれの代表的な品種の特徴について詳しく解説します。
梅の品種を知ることで、梅園や庭木での観賞がより一層楽しくなるでしょう。

梅の開花時期は品種によって異なる

梅は日本で約300種類以上の品種があるといわれており、それぞれ開花時期が異なります。
一般的な開花時期は1月下旬から4月下旬頃までですが、品種によっては12月中旬の冬至の頃から咲き始めるものもあります。

梅の開花時期は大きく「早咲き」「中咲き」「遅咲き」の3つに分類されます。
早咲きから遅咲きの品種が順番に開花するため、梅園では約2〜3ヶ月にわたって花を楽しむことができるのです。

開花時期による分類

分類 開花時期 特徴
早咲き 12月下旬〜2月中旬 耐寒性が高く、香りが強い品種が多い
中咲き 2月上旬〜3月上旬 品種数が最も多く、梅の見頃のピーク
遅咲き 3月中旬〜4月上旬 花が大きく、香りは控えめな傾向

開花時期は地域や気候によっても変動します。温暖な地域では早咲き品種が多く見られ、寒冷地では遅咲き品種の方が育てやすい傾向があります。

梅の基本的な分類

梅の品種を理解するには、まず基本的な分類を知っておくことが大切です。
梅は大きく「花梅(はなうめ)」と「実梅(みうめ)」の2種類に分けられます。

花梅と実梅の違い

花梅は主に花を観賞することを目的とした品種で、花の色や形、香りを楽しむために改良されてきました。
盆栽として楽しまれることも多く、白、ピンク、紅色など花色のバリエーションが豊富です。

一方、実梅は果実を収穫して梅干しや梅酒などに加工することを目的とした品種です。
南高梅や白加賀などが代表的で、全国で約100種類が栽培されています。実梅でも美しい花を咲かせる品種があり、花と実の両方を楽しめるものもあります。

花梅の3系統9性による分類

花梅は、明治時代に小川安村によって提唱された分類法に基づき、3つの系統と9つの性に分けられています。

野梅系(やばいけい)は、中国から渡来した梅の原種に近い品種群です。
枝が細く花や葉は比較的小さいのが特徴で、香りが良いことでも知られています。野梅系はさらに野梅性、難波性、紅筆性、青軸性の4つに分けられます。

緋梅系(ひばいけい)は、野梅系から変化した品種で、枝や幹の断面(髄)が赤いのが特徴です。
花は紅色や緋色のものがほとんどですが、白い花でも髄が赤ければ緋梅系に分類されます。紅梅性、緋梅性、唐梅性の3つに分けられます。

豊後系(ぶんごけい)は、梅とアンズ(杏子)の交雑によって生まれた品種です。
木の幹が太く、花や葉が大きいのが特徴で、花はピンク色のものが多く見られます。
野梅系や緋梅系に比べて花の香りは控えめで、遅咲きの品種が多い傾向があります。豊後性と杏性の2つに分けられます。

早咲き梅の品種と特徴

早咲きの梅は、冬の寒さが厳しい時期に花を咲かせるため、春の訪れをいち早く知らせてくれる存在として親しまれています。耐寒性が高く、香りが強い品種が多いのが特徴です。

冬至梅(とうじばい)

冬至梅は、その名の通り冬至(12月21日頃)から咲き始める極早咲きの品種です。
野梅系・野梅性に分類され、清らかな白い一重咲きの花を咲かせます。開花期は12月中旬から2月中旬と長く、お正月の飾りや盆栽としても人気があります。

枝が細く繊細な印象で、鉢植えや盆栽に向いています。
冬の寒さの中でも凛と咲く姿は、希望や力強さの象徴として古くから愛されてきました。

八重寒紅(やえかんこう)

八重寒紅は早咲きの代表的な品種で、野梅系・野梅性に分類されます。
濃い紅色の八重咲きの花が特徴で、12月頃から鮮やかな花を咲かせ始めます。甘い香りが漂い、庭木や盆栽として人気があります。

開花期が早いため、正月用の花材としても重宝されています。
同系統で一重咲きの「一重寒紅(ひとえかんこう)」という品種もあります。

月影(つきかげ)

月影は野梅系・青軸性の早咲き品種で、1月下旬頃から青白色の一重咲きの花を咲かせます。
青軸性の特徴として、枝やガク(萼)が緑色をしており、白い花との対比が美しい品種です。

清楚で品のある花姿から、盆栽愛好家にも人気があります。
香りも良く、早春の訪れを感じさせてくれます。

道知辺(みちしるべ)

道知辺は野梅系・野梅性の早咲き品種で、1月中旬から下旬にかけて開花します。
淡い紅色から始まり、徐々に明るい紅色、そして紫紅色へと花色が変化していく様子が楽しめます。

大輪の一重咲きで、花形が整っており品のある美しさがあります。
強健な性質で、庭木や鉢植えに向いています。

その他の代表的な早咲き品種

  • 紅冬至(こうとうじ):冬至梅の紅花品種、12月下旬から開花
  • 初雁(はつかり):白い一重咲きの極早咲き品種
  • 大盃(おおさかずき):鮮やかな紅色の八重咲き、1月から開花
  • 緑萼梅(りょくがくばい):ガクが緑色の白梅で、すっきりとした印象

中咲き梅の品種と特徴

中咲きの梅は2月上旬から3月上旬にかけて開花し、梅の見頃のピークを彩ります。
品種数も最も多く、梅園や梅林で最も華やかな時期を演出します。

白加賀(しろかが/しらかが)

白加賀は実梅の代表的な品種ですが、白い一重咲きの花も美しく、花梅としても楽しめます。
江戸時代から栽培されてきた歴史ある品種で、加賀藩邸に植えられていた「加賀の白梅」がルーツとも言われています。

群馬県を中心に関東地方で多く栽培されており、大粒で肉厚な果実は梅干しや梅酒に適しています。
開花期は2月中旬から3月上旬頃です。

南高梅(なんこううめ)

南高梅は和歌山県を代表する実梅の最高級ブランドです。
白い一重咲きの花を咲かせ、開花期は2月頃です。
皮が薄く果肉が柔らかい大粒の実は、梅干しの王様として全国的に知られています。

明治35年に和歌山県の高田貞楠氏が発見し、南部高校の調査により「南高」と命名されました。
現在、国内で生産される梅の約6割は南高梅が占めています。

見驚(けんきょう)

見驚は野梅系・野梅性の品種で、その名の通り「見て驚く」ほど美しい花を咲かせます。
白色から淡いピンク色の大輪の花が特徴で、2月上旬から中旬にかけて開花します。

花の形が美しく整っており、梅園や公園などでよく見かける人気の品種です。
香りも良く、観賞価値の高い梅として親しまれています。

紅千鳥(べにちどり)

紅千鳥は緋梅系・紅梅性の品種で、明るい紅色の一重咲きの花を咲かせます。
花の中心にある雄しべの先端が赤いのが特徴で、千鳥が飛んでいるような姿に見えることが名前の由来です。

2月中旬から3月上旬にかけて開花し、梅園を華やかに彩ります。
盆栽や庭木としても人気があります。

その他の代表的な中咲き品種

  • 玉牡丹(たまぼたん):白い八重咲きの大輪品種
  • 東雲(しののめ):緋梅系の中輪一重咲き
  • 思いのまま(輪違い):一本の木から紅白の花が咲き分ける人気品種
  • 蘇芳梅(すおうばい):濃い紅色の八重咲き、気品ある花姿

遅咲き梅の品種と特徴

遅咲きの梅は3月中旬から4月上旬にかけて咲き、春の名残を楽しめる品種です。
花が大きく、香りが控えめなものが多いのが特徴です。
この時期は桜など他の花々も咲き始めるため、梅と他の花のコラボレーションを楽しむこともできます。

豊後梅(ぶんごうめ)

豊後梅は梅とアンズの交雑種として知られ、大分県が原産地です。
豊後系の代表的な品種で、薄紅色からピンク色の大輪の花を咲かせます。開花期は3月中旬から4月上旬と遅咲きです。

実が大きく40〜60gにもなり、果肉が厚く甘みがあるのが特徴です。
寒さに強いため、東北地方など寒冷地でも栽培されています。花梅としても実梅としても楽しめる万能な品種です。

楊貴妃(ようきひ)

楊貴妃は豊後系・豊後性の遅咲き品種で、淡いピンク色の大輪八重咲きの花を咲かせます。
その名の通り、華やかで気品のある花姿が特徴です。

枝が太く存在感があり、庭木として植えると華やかな雰囲気を演出できます。
3月下旬頃が見頃で、桜の開花前に楽しめる品種として人気があります。

鹿児島紅(かごしまこう/かごしまべに)

鹿児島紅は緋梅系・緋梅性の品種で、紅梅の代表格として知られています。
濃い紅色の八重咲きの花が特徴で、梅の中でも特に色が濃い品種です。

開花期は2月上旬から3月中旬とやや遅咲きで、枝の髄や葉柄も濃紅色に染まる艶やかな品種です。
庭木、鉢植え、盆栽と幅広く楽しめます。

呉服枝垂(くれはしだれ)

呉服枝垂は枝垂れ梅の代表的な品種で、ピンク色の八重咲きの花を咲かせます。
名前の通り、呉服を身に着けているような優雅な花姿が由来です。

開花期は2月下旬から3月中旬で、枝垂れた枝に花が咲き誇る姿は庭園に風情を添えます。
枝垂れ梅全般は通常の梅より半月ほど遅く開花する傾向があります。

その他の代表的な遅咲き品種

  • 武蔵野(むさしの):豊後系の淡紅色八重咲き
  • 淋子梅(りんしばい):杏性の白い八重咲き
  • 桜鏡(さくらかがみ):豊後性の淡紅色大輪
  • 一の谷(いちのたに):杏性の小輪一重咲き

早咲きと遅咲きの違いをまとめて比較

早咲きと遅咲きの梅には、開花時期以外にもさまざまな違いがあります。
品種選びの参考にしてください。

項目 早咲き 遅咲き
開花時期 12月下旬〜2月中旬 3月中旬〜4月上旬
主な系統 野梅系が多い 豊後系が多い
花の大きさ 小〜中輪が多い 大輪が多い
香り 強い傾向 控えめな傾向
耐寒性 高い 普通〜低い
枝の特徴 細い傾向 太い傾向
おすすめ地域 温暖な地域 寒冷地にも適応

早咲きの品種は寒さに強いものの、寒冷地では花が傷みやすい場合があります。
北海道や東北地方では、アンズの血を引く豊後系など遅咲きの品種を選ぶと、安定して花を楽しめます。逆に九州など温暖な地域では、早咲きの品種がよく育ちます。

実梅の代表的な品種と収穫時期

梅干しや梅酒を楽しむなら、実梅の品種を知っておくことも大切です。
実梅の収穫時期は一般的に6月から7月の梅雨の時期で、青梅は6月上旬、完熟梅は6月下旬頃が目安です。

主な実梅の品種

品種名 主な産地 特徴 おすすめの用途
南高梅 和歌山県 皮が薄く果肉が柔らかい大粒 梅干し、梅酒、梅シロップ
白加賀 群馬県など関東 肉厚で繊維が少なく形が美しい 梅干し、梅酒、梅シロップ
古城(こじろ) 和歌山県 青いダイヤと呼ばれる美しい青梅 梅酒、梅シロップ
豊後 青森県、長野県など 大粒で酸味が少なく甘みがある 梅酒、ジャム、梅シロップ
竜峡小梅 長野県 小粒で種が小さい カリカリ梅、梅干し
甲州小梅 山梨県 小粒ながら肉厚 カリカリ梅

梅と桜・桃の見分け方

梅の観賞に出かけた際、桜や桃との違いがわからないという方も多いのではないでしょうか。
梅、桜、桃はいずれもバラ科サクラ属の植物で似ていますが、いくつかのポイントで見分けることができます。

花びらの形で見分ける

最も簡単な見分け方は花びらの形です。梅の花びらは先端が丸く、桜の花びらは先端がハート型に切れ込みが入っています。
桃の花びらは先端がとがっているのが特徴です。

花の咲き方で見分ける

梅は枝に直接花がつき、花柄(かへい:花と枝をつなぐ緑色の軸)がほとんどありません。
そのため、枝に張り付くように一輪ずつ咲きます。

桜は花柄が長く、数輪がまとまって下を向くように咲きます。
桃は花柄が短く、同じ付け根から2輪の花が様々な方向を向いて咲くため、梅より華やかに見えます。

香りで見分ける

梅はジャスミンに似た甘く上品な香りが特徴で、夜でも香りを楽しめることから「夜の梅」という季語もあります。
桜は品種によりますがほとんど香りがなく、桃もごくわずかな香りしかありません。

開花時期で見分ける

基本的に梅→桃→桜の順番で開花します。
梅は1月下旬から4月下旬、桃は3月上旬から4月下旬、桜は3月中旬から4月下旬にかけて日本列島を北上しながら咲いていきます。

梅の観賞を楽しむポイント

梅の花をより楽しむために、観賞のポイントを押さえておきましょう。

見頃は2〜3分咲きがおすすめ

「満開」と聞くとすべての花が開いた状態を想像しますが、梅の観賞には2〜3分咲きの頃がおすすめです。
この時期は最初に咲く花に栄養が集中するため、一つ一つの花が充実しており、花も混み合っていないのでじっくり観察できます。

探梅・賞梅・送梅という楽しみ方

古くから伝わる梅の観賞方法として、「探梅(たんばい)」「賞梅(しょうばい)」「送梅(そうばい)」があります。
探梅は早咲きの梅を一輪一輪探しながら楽しむこと、賞梅は咲きそろった梅を愛でること、送梅は散りゆく梅を惜しみながら見送ることを指します。

この3つの楽しみ方を意識することで、シーズンを通じて梅の変化を味わうことができます。

香りを楽しむコツ

梅の香りを存分に楽しむには、風が少ない晴れた日を選ぶのがポイントです。
特に早咲きの野梅系は香りが強い品種が多いので、花に近づいて香りを楽しんでみてください。

まとめ

梅の花
梅の花は品種によって開花時期が大きく異なり、早咲きは12月下旬から、遅咲きは4月上旬まで楽しむことができます。
早咲きの品種は耐寒性が高く香りが強い傾向があり、冬至梅や八重寒紅が代表的です。
遅咲きの品種は花が大きく香りは控えめで、豊後梅や楊貴妃などが知られています。

梅は野梅系、緋梅系、豊後系の3つの系統に分けられ、それぞれ枝や花、香りに特徴があります。
品種の違いを知ることで、梅園での観賞がより一層楽しくなるでしょう。

また、実梅を育てれば花を楽しんだ後に梅干しや梅酒作りも楽しめます。
南高梅や白加賀など、用途に合わせた品種選びで、日本の伝統的な梅仕事を楽しんでみてはいかがでしょうか。

ぜひこの記事を参考に、お気に入りの梅の品種を見つけて、長い期間にわたって梅の花と香りを楽しんでください。

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